本記事ではなぜ?SDGsの解決が必要な背景と解決方法、私たちにできることを紹介します。本記事を読むことでSDGs目標10に関する理解が深まり、目標の達成に貢献するアイデアが手に入ります。一緒にSDGs10へ取り組んでいきましょう!
SDGs10「人や国の不平等をなくそう」の説明
SDGs(持続可能な開発目標)の目標10は、「人々の平等を実現しよう」という目標です。この目標は、経済成長や発展の恩恵が全ての人々に平等に行き渡るようにすることを目指しています。具体的には、以下のような目標が含まれています:
- 10-1: 2030年までに、各国のなかで所得の低いほうから40%の人びとの所得の増え方が、国全体の平均を上回るようにして、そのペースを保つ。
- 10-2: 2030年までに、年齢、性別、障がい、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる。
- 10-3: 差別的な法律、政策やならわしをなくし、適切な法律や政策、行動をすすめることなどによって、人びとが平等な機会(チャンス)をもてるようにし、人びとが得る結果(たとえば所得など)についての格差を減らす。
- 10-4: 財政、賃金、社会保障などに関する政策をとることによって、だんだんと、より大きな平等を達成していく。
- 10-5: 世界の金融市場と金融機関に対するルールと、ルールが守られているか監視するシステムをより良いものにして、ルールが、よりしっかりと実行されるようにする。
- 10-6: 世界経済や金融制度について何か決めるときに、開発途上国の参加や発言を増やすことによって、より効果的で、信頼できる、だれもが納得することのできる制度を作る。
- 10-7: 計画にもとづいてよく管理された移住に関する政策を実施するなどして、混乱がなく安全で、手続きにしたがい責任ある形の移住や人びとの移動をすすめる。
参考: https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/10-inequalities/
SDGs10「人や国の不平等をなくそう」のロゴ
中央にイコールがあり四方に三角矢印が広がっているロゴです。中央のイコールは平等を表していての四方へ広がる三角形は世界中へという意味です。つまり平等を世界中へ広げていこうという意味がこのロゴには込められていることが推測できます。
SDGs10の背景
なぜ格差が問題なのか?
格差が広がると社会が不安定になるから
フランス革命をはじめとする革命の要因の大半は格差が原因です。また、第二次世界大戦などの戦争の原因は国家間の貧富の格差が1つの大きな要因として考えられます。そして、格差が広がると貧困を理由に犯罪に手を染める人も増えます。このように人や国家の経済格差が広まると不安定な世界になってしまいます。
貧困層や中間層の労働へのモチベーションが低下するから
経済格差が広まると富を一部の人が独占することで、貧困層や中間層の人々が資本へアクセスできる可能性が低くなります。その結果、起業や良い職に就くための機会が阻害されてしまいます。結果として生まれながらに可能性の目が小さいため諦める人が増えます。その結果、社会の活力やイノベーションが制限され、結果として社会全体の成長が阻害される可能性があります。
権力の集中すると平等な民主主義を維持するのが難しくなるから
格差が広がると、富裕層や特権階級が政治的な影響力を持つ傾向が強まります。これにより、政治的な意思決定が富裕層や特権階級の利益に偏ることがあり、民主主義の原則が侵害される可能性があります。
資本家が富を得やすい金融システムだと労働者への還元が疎かになる
21世紀の資本によると資本家への富の集中が増えていることが言及されています。能力に関係なくただお金を持っている人が稼げる社会になっていると考えられます。労働によって結果を出しても結局、資本家に富が集まるため、労働意欲がそがれて経済への悪影響が予想されます。つまり労働者へ富が適切に配分されるような金融システムが求められています。
移民が働きやすい社会は自国民にとっても大きなメリットがある
移民の受け入れは、SDGs10のテーマの一つであり、移民に対する平等を推進することも重要です。移民に対して適切な雇用を提供することは、経済成長を促進します。また、先進国では少子高齢化が進行し、労働人口の割合が低下しています。この問題に対処する方法の1つとして、移民の受け入れが挙げられます。移民を受け入れることで、社会保障制度を維持し、安定した老後を迎えることができるでしょう。
格差は本当に広がっているのか?
21世紀の資本という書籍が話題になりましたが、その著者であり格差研究の経済学者であるトマ・ピケティのチームが上位1%の富裕層が世界の富を37.8%を占めていることが明らかになっています。この富の格差は年々上昇傾向で今後はさらに富の独占が進むことが推測できます。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、世界の富裕層と貧困層の格差が広がったことがわかった。フランスの経済学者トマ・ピケティ氏らが運営する「世界不平等研究所」(本部・パリ)が発表した。世界の上位1%の超富裕層の資産は2021年、世界全体の個人資産の37.8%を占め、下位50%の資産は全体の2%にとどまった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB272Q20X21C21A2000000/
SDGs目標10を達成するには?
SDGs10「人や国の不平等をなくそう」に対する取り組みは国連をはじめとするNGOの大規模な経済開発が挙げられます。具体的には次のような取り組みが行われています。
- 開発途上国農村部における貧困の緩和
- アフリカ開発の重視
- ビジネス環境の整備
- グローバルな貿易関係改善
- 空運と海運の改善
- グローバルな電気通信の改善
- …
参考: https://www.unic.or.jp/info/un/un_organization/60ways/economic_dev/
SDGs目標10: 私たちにできること
SDGs10「人や国の不平等をなくそう」は壮大で私たちにできることは少ないと思われがちですが、実はそんなこともありません。様々な働きかけが大きな影響を及ぼします。その具体的な取り組みに対して解説します。
政治への積極的な参加
富の再配分は主に政治の役割です。そのため選挙にいくなど政治に積極的に参加することが重要です。政府が税金を徴収し、その収益を貧困層へ再配分することで、富の格差を減少させる取り組みが必要です。また、21世紀の経済において、資本に対する税金を課すことが富の格差の是正につながると指摘されています。さらに、富裕層が税金逃れをするための手段であるタックスヘイブンなどを規制することも重要です。
経済的に成功を収めて募金をする
経済的に成功を収めた場合、余剰の利益を募金活動を通じて再配分することで、富の格差を緩和することができます。特に、国家間の格差を解消するためには、政治への参加だけでは不十分な場合があります。そのため、富裕な国から恵まれていない国への支援を行うことが必要です。
独占企業への消費を抑える
世界の計5万7000社を対象に日本経済新聞が分析したところ、GAFAと呼ばれる米IT(情報技術)4社の税負担率は平均約15%で、主要な製造業の半分程度の水準にとどまった。現行の法人税は、データなどの無形資産にうまく課税できていない。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC086QY0Y1A400C2000000/#:~:text=GAFA%E3%81%AE%E7%A8%8E%E8%B2%A0%E6%8B%85%E7%8E%87,%25%EF%BC%89%E3%82%82%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%8F%E4%B8%8B%E5%9B%9E%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82
GAFAなどの独占企業は、少額の税金しか納めずに多額の利益を得ています。そのため、これらの企業の製品を購入することで、富の格差が拡大することにつながる可能性があります。そこで、独占企業の製品を避けることや、SDGsへの配慮が高い企業から製品を購入することが、富の格差を縮小させる一助となります。
フェアトレードに対して意識された製品を買う
フェアトレードとは原料の買い叩きをせずに適正価格で取引を行うことです。たとえばチョコレートを製造するときにカカオ豆が必要となりますが、企業によっては買う側の優位性を利用してカカオ豆にたいして不当な価格交渉を行うこともあります。そうすることで先進国の人が得をして、原料の生産者が損することになってしまいます。そういった問題を起こさないためにもフェアトレードに対する意識の高い企業から商品を購入することが原料の生産者への還元につながります。
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